2008年12月24日(水曜日)
人間というのは、いくら素晴らしくても、新しいものをなかなか認められないものだ。これは自分には合わない。期待していたものではない。今まで好きだったものと違う。そういう処理をしてしまう。自分が好きなものはこんなものだ、と決め込んでいるから、新しいものを排除してしまうのだ。でも、パンチがあとから効いてくるように、インパクトを受けると、あとから気づく。どうしたら新しい価値をすぐに見出せるだろうか。それには、常に自分の感覚を研ぎ澄ませている必要がある。自分の価値観を疑うことも大事だと思う。もし新しいものを作りたいなら、もし新しいものに触れたいのなら、そうした方が良い。 「博士、質問があります!」に話を戻すが、この本の価値の半分はイラストにある。イラストは、僕が下描きをしたものだけれど、キャラクタの絵は、丸を書いて「ここに博士が立っている」というくらいの指定しかしていない。つまり、あとはイラストレータの仕事だ。絵を見るだけで、思わず微笑ましくなるのは、キャラの仕草、表情が面白いからだ。ここに絵の価値がある。文章系の人にはこれが見えないのだ。今回、この本の印税の4割はスバル氏に譲った。僕はその価値を知っているからだ。
自分の仕事の価値を見定めることは非常に重要だ。原稿料がいくらか、印税がいくらか、そういうことをきちんと認識し、仕事の依頼があったら、最初に金額を話し合ってから仕事を受けるべきである。「お金の話をするのはいやらしい」というのは逆だ。そういうことを言う方がむしろいやらしい。原稿料が5万円なら5万円の価値があるものを作る、10 万円なら 10 万円のものを出す。それがプロではないか。