2008年10月29日(水曜日)


今日は、小説を書くときに僕が気をつけていることをずばり書く。 1)やはり大事なのは、リアリティだと思う。架空の話を書いているわけだから、どこかに「現実味」を持たせる必要がある。抽象的だけれど、ここが小説の一番コアな部分だ。どんな絵空事であっても、どんな突飛なキャラクタであっても、それが存在するように、その人がいるように、読者に感じさせなければならない。 2)次に、大事なのは、オリジナリティだろう。1作だけ書いてそれで終わり、という場合は関係がないけれど、プロで生きていくためには、次の本を手に取らせることが大事である。その作品の役目の半分は、次の作品を読みたくさせることだ。 3)ある程度のオフェンス。小説に限らないが、プロのもの書きであれば、その文章になんらかの攻撃性がなくてはならない。それを読んだ人全員が安心し、うんうんと頷くようなものを書いてもしかたがない。「それは違うだろう」と何人かが反発するようなこと、読むことによって、ある人たちに、あるときには、腹を立たせるような要素を持っている必要がある。 4)ある程度のディフェンス。しかし、弱みを持っていては、商品にならないので、最低限の防御は構築しておくことを忘れてはいけない。 5)自己犠牲を覚悟すること。書いた文章によって、「自分が人に好かれる」といった希望をまちがっても持たないことだ。人に好かれるために文章を書いているのではない。少なくともプロは違う。そんな気持ちを持っているうちは、価値のある文章は書けないだろう。

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僕は文章を書くとき、できるかぎり参考文献を見ない。その時点で覚えていることだけで書く。あやふやな記憶であれば、あやふやなまま書く。つまり、情報ではなく、僕が覚えていること、考えたこと、感じたことが何だったか、という方が重要だと認識しているからだし、作家の仕事は本来そこにある、と考えている。情報の正確さが必要であるならば、それは必要だと思う人が直接調べれば良いだろう。 これは、論文や学術書などとは違うスタンスである。正確な情報が必要な書物はもちろん存在するし、具体的に記述をしなければならないものは数多い。正確な引用がそこで書く内容の基礎となるような場合はなおさらである。

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