2008年10月11日(土曜日)
変なたとえだが、会社になにか不満があって、それを上司に訴えたい、と思ったら、その会社を辞めても食べていけるような道をまず確保する。そうしたうえで交渉に臨む方が良い。相手も、こちらの退路が見えるから、無理な攻撃に出られない、という効果もある。さらに変なたとえだけれど、僕は作家としてデビューしたあとも、国家公務員だったので、出版社には言いたいことが言えた。いつでも辞められる、と考えていた。一方、大学でも、言いたいことが言えた。首を切られても痛くもないからだ。良くない例ではあるけれど、そういった穏やかではない駆引きめいたことが、大きなこと小さなこと、ままならない世の中にはある。喧嘩をするときだって、必ず退路を計算したうえで臨んだ方が良いだろう。絶対に負けたくなければ、なおさらだ。 「失うものはなにもない」という言葉をよく耳にする。これは本来「どん底にいる人の強さ」を示した表現だが、どん底にいない一般の人は、たいていは「失うもの」があるから、我慢をしなければならなくなる。取り上げられたら困る。そういう仕組みで、支配されているのだ。したがって、「それを失った場合に代わりになるもの」を用意しておくか、「失うものが割合として小さくなるような対策を立てるか」のいずれかが、我慢をしないで済む、支配から逃れる方法となる。 人生の戦略を練ること。もし、負けたくなければ。