2007年12月24日(月曜日)
先日書いた「タイトルを何ヶ月も考える」という話だけれど、古い日記にも幾度か書かれているとおり、以前は半年間くらい考えた。最近それが短くなっているのは、既に使ってしまったタイトルが沢山あるから、選択肢が限られているためだと分析できる。既刊が増えてくると、同じ方向へは行けない、という気持ちから、行く手が遮られ、選べる道は少なくなる。だから考える時間は減る。もうここしか残っていない、みたいになるわけである。このように、経験を重ねてノウハウを蓄積する、とは、ある意味で、選択肢が限られた不自由な状態になっているだけのことだ。初心者は自由なので迷うことが多い、というわけ。 たとえば、「百年シリーズ」では、「ウォーカロン」という言葉を考え出すのに半年以上かかった。友人たちに相談をしたし、外国人の意見も数名きいた。「スカイ・クロラ」では、「散香」という戦闘機の名前を決めるのに、やはり半年近くかかった。誰かが考えてくれるなら、採用時に 100 万円出しても安いと思っているが、これまで他人の案を採用したことは一度もなく、やはり参考やヒントにしかならない。 名称を決めることはそれくらい重要だ。ものの名前というのはほとんど命だ、と僕は感じている。名前の悪いものは、絶対に良いものにはならないのだ。たとえ、一時的に良くても、歴史に残らない。最後に残るのは名前だけである、といっても良いだろう。
1 桁の数字を足し合わせると 10 を越えるものがある。足し算を習っているとき、ここにギャップがある。不思議だ。桁が増えることを何故難しく感じるのだろうか。11 や 12 も、8 や 9 と同じく、1 つの数字なのに。ただ、表記が 2 文字になっているだけのことである。数字を表記する方法の問題なのに、何故計算がややこしくなる(と感じる)のだろうか。そういった疑問を持ったので、小学校 1 年生のときに担任の先生に質問したところ、僕の質問の意味が、先生は理解できなかったようだった。もちろん、僕の国語能力が不足していたためだろう。 さて、5 + 5 = 10 は、気持ち良く覚えられる。また、5 + 6 = 11 もその恩恵によりまずまずだ。6 + 6 = 12 も手が届く範囲というか、まだまだ人に優しい。ところが、6 + 7 = 13 がいけない。一気に難しくなる。これが、桁を越える足し算における最初の難関といえるだろう。とにかく座りが悪いのである。ここさえ乗り越えれば、このあとは、7 + 8 = 15 が、やや釈然としないものの、まあまあ納得のいく世界が続く。特に、9 を足す場合は、「1 つ減る法則」が適用できるので、むしろ簡単に感じるだろう。 思えば、5 を越えるときにも小さなハードルがあったのだ。そのときは、3 + 4 = 7 がネックだった。これさえ覚えてしまえば、1 桁ではもう安泰である。だから、6 + 7 = 13 も鵜呑みにして覚えてしまえば、なんとかなるだろう、ということは経験的にわかっているのだが、しかし、やはり桁が増えている点が、どうも胡散臭い。13 という数は、6 と 7 を足したものにしては、少し小さすぎないか、という印象である。しかし、人に聞いてみると、この印象は理解してもらえないのである。7 + 8 が 15 になるのが、まだ納得ができる範囲なのと対照的だ。おそらく足し算をするまえから、13 という数を知っていたので、この先入観が災いしているのだと思われるが、さて、貴方はいかがですか?