2007年10月08日(月曜日)


犬の行動で面白いのは、たとえば、見てほしいものが向こうの方にあると、自分がそちらへ行って示す。一緒に来てくれ、という意味だ。来てもらえないと、また戻ってきて、顔を見ながら、もう一度そちらへ自分で走っていく。これを繰り返す。つまり、相手にしてもらいたいことを、自分がして示すのである。 もう少し抽象すると、「ここ」という概念は、犬でもわかる。動物は常に自分が行動して(そこへ行って)示す。それで意思伝達をする。しかし、人間のように「あそこ」という概念はない。いくら遠くから指をさしても犬には伝わらない。 人間の赤ちゃんは、物心がつくと大人の視線を追うようになる。相手が見ているものを、自分も見ようとする。相手が興味を示したものが、自分にも面白いものだと学ぶからだ。この動作は、動物でも高等な部類のもの(チンパンジーなど)はするらしい。ところが、相手が指さしたものを見るようになるのは、人間の赤ちゃんだけだそうだ。チンパンジーでさえ、指をさすというサインの意味を理解することはできないらしい。人間の赤ちゃんは早ければ1歳くらいで、このサインを理解している。つまり、大人が視線を動かさないでも、指をさしたことで「そちら」だと知る。このことは、人間が、動作を記号(サイン)と変換する能力に卓越していることを示しているだろう。

via: MORI LOG ACADEMY: サインによるコミュニケーション