2007年09月22日(土曜日)
友人から、住宅を購入するので相談にのってほしい、と言われることが多い。たぶん、建築学が専門だから、頼りになりそうに感じるのだと想像する。しかし、一般的に誰にでも当てはまるような知見はそんなに多くはない。たとえば、一番確かな指標は、「値段」である。高いものほど良い。これがまず一番信頼がおけるデータだ。ただ、ライフスタイルによって価値評価は違う。それは人に相談しても解決しない問題である。以下に一般事項を書く。 1)最も重要なファクタは、それがどこに建っているのか、つまり土地である。建物はいくらでも直すことができるが、場所は簡単には変えられない。その場所が何十年もの間にどうなるのかも考えてほしい。「日当たり」がよく問題になるが、それよりは「防犯」「災害」を考えるべきである。周囲の環境も大事ではあるけれど、たとえば極端な話、家の中に籠もってエアコンをつけていれば、外の環境は遮断できる。 2)何年そこに住むつもりなのかを決めること。ついつい現在の生活に合わせて考えがちだ。子供が小さい間だけ住むのならせいぜい 10 年。もっと長く住むつもりなのか、売ってしまって引っ越すつもりなのか、少なくとも方針を決めた方が良い。10 年、20 年後にどんな生活をしたいのか、ということがわからなければ、家や土地は選べない。周囲の環境も変わる。近くにコンビニがあるとか、そんな条件はいつ消えるかわからない。 3)既に建っている中古の家を買う場合は、ジャンク、つまり住めれば儲けものだと思って買った方が良い。建て替えたり、徹底的にリフォームするつもりの方が良い。建売の新築住宅も、これにかなり近い。土地はなかなか変えられないが、家は比較的簡単にカスタマイズできる(たとえば自動車よりずっと簡単に大幅改造が可能)。逆にいえば、収納がどうとか、キッチンがどうとか、そういった細かい部品で家を選んではいけない。そんなものはいつでも取り替えられるからだ。建売の住宅を選ぶならば、「将来、風呂をこちらへ移動しよう」くらいの気持ちで買うべき。