2007年09月20日(木曜日)


昨日書いた話題の続き。不満は他人との比較によって生まれる、と書いたが、他人と自分を比較することが悪いという意味ではない。比較によって、闘争心が生まれることもある。優れた他人を手本にすることもできるし、また、憧れも生まれる。憧れることは、不満よりは自分にプラスになりやすいと思う。 不満を感じ、その鬱憤を晴らすエネルギィが成功を導いた、というようなサクセス・ストーリィが多い。いわゆる「ハングリィ精神が必要だ」という話になる。そういう場合もあるかもしれないが、そうでないメカニズムの人もいるだろう。僕が感じるのは、不満がいくら集まっても、満足にはつながらないということ。特に、ものを作っていてこれを感じる。上手にできなくても1つを作り上げれば、いくらかの満足は得られる。その小さな満足を足掛かりにして、もっと大きな満足へ向かっていくのではないだろうか。 なにかを作っていて、どうも上手くいかない。どんどん途中で投げ出してしまう。こういったことを繰り返していても、良い作品が生まれるとは思えない。少々不満はあっても、とにかくなんとか完成させる。そこで小さな満足を味わうことがないと、より大きな満足を目指せない。山を登るときがそうだ。一歩一歩上がっていく満足感がなければ、頂上までは登れない。常に不満を抱えているのでは続かない。 ただ、注意をしなければならないことがある。小さな満足を得るつもりが、それで大満足してしまうことがあるのだ。すると、そこがその人間のゴールになってしまう。「この満足をもう一度、さらに大きく」と思うことが前進の力になる。 人から得られるものは限界がある。自分に近いものを探しても必ず限りがある。しかし、自分が産み出すものは、少なくとも自分には無限に近づける。満足というのは、結局は自分自身に近づくことなのだ。

via: MORI LOG ACADEMY: 小さな満足を足掛かりに