2007年08月21日(火曜日)


振り返ってみると、人生という旅路の途中で、ときどき川を渡ることがあった。自分は本来はこちら側だが、ためしに向こう側へ行ってみるか、というときがたまに訪れる。なんとなく、今まで足を踏み入れなかった領域へ恐る恐る片足を入れてみる、そんなときがあるものだ。そして、それがきっかけとなって、広大な新天地が目の前に開けることもあって、なかなかに楽しく、突然変異による進化論を信じたくもなる。 僕は、常に「自分はこうなんだ」と決めつけず、いつでも軽く川を渡れる旅人でいたいと願っているけれど、川にもいろいろあるわけで、ちょっとやそっとでは渡れない大河の岸に立ち、遠く対岸を眺めるだけのことだってもちろんある。「若い頃だったら(もっと上流だったら、あるいは体力があったら)渡れたのに」と悔しく思うこともしばしばだ。アドバイスは「渡れるうちに渡っておこう」かな。 勘違いしないでほしい。エッセィを読めという意味で書いたのではない。人にすすめられて川を渡ると、溺れる確率が高いので注意しよう。大事なのは、「渡ってみようか」という最初の思いつきなのであって、人から言われたらもう多くは台無しである。

via: MORI LOG ACADEMY: 遠く対岸を望む