2007年07月20日(金曜日)


これは既に 2006 年 1 月 19 日の【算数】で書いている。「20%値引きしてもらったのに、25%の関税がつくと、元どおりの値段になる」と。 25%増量したものを元に戻すには、20%減らすだけで良い。式にすれば、100×1.25 = 125 であり、125×0.8 = 100 である。100g の水に、5g の塩を溶かした塩水は、濃度 5%ではない。5/105 = 4.76…であり、約 4.8%になる。母数が変化するために、こういったことが起こる。 7 月 3 日の【理科】で、「『食料品が5%値上がりしました。さて、消費者はどうしたら良いでしょうか?』という問いに対する、最も素直な答は、『食べる量を5%減らせば良い』である。」という一文を書いたときも、きっとこの点を指摘してくる人がいるだろうな、と想像していた。ところが、今回メールは一通もなかった。皆さん、気づかなかったのか、気づいたけれど大人なのか、それとも気づいて、さらに以下のような想像をされたのか。 そういうメールが来た場合に僕が用意していた返答は、以下のようなものだ。 100 のものが 5%の値上がりで 105 になった。これを 5%減らすと、105×0.95 = 99.75 になる。この数字は、100 よりも小さいので、「減らせば良い」という判断は正しいことになる。つまり、100 を下回れば良いわけだから、6%減らしても良いし、7%減らしても良い。 また、工学的に、5%減という数字は、4.76%減をまるめたものと充分にいえる。それに、文章として、「4.76%減らせば良い」と書いていたら、一般の読み手にはわかりにくくなり【理科】のテーマから外れてしまっただろう。「素直な答」でもなくなる。さらに、「4.76%」は、一見厳密っぽいが、「いや、厳密には 4.7619…%なので、それでは足りない」と指摘された場合に弁解が難しい。こちらの方が危険側だからである。「4.762%」だったら問題はないのだが。

via: MORI LOG ACADEMY: 105%から 5%減らすと