2006年10月06日(金曜日)
四角形というのは、4つの辺(直線)で囲まれた平面図形のことだ。いろいろな四角形があるけれど、そのうちで、2つ(1組)の辺が平行のものを「台形」と呼ぶ。さらに、残りの2辺も平行であれば、これを「平行四辺形」と呼ぶ。つまり、台形の一部は平行四辺形だ。 さて、平行四辺形のうち、どこかの1つの角度を測ってみたら直角だった、という場合、それは「長方形」である。また、平行四辺形のうち、どこかの隣り合う2辺を測ってみたら、長さが等しかった、という場合、それは「菱形」と呼ばれる。つまり、平行四辺形のうちの一部は長方形であり、また、一部は菱形である。 さらには、菱形でもあるし長方形でもある四角形が存在する。これを「正方形」と呼ぶ。 算数では、ごく当たり前の話であるが、世の中では、「長方形の部屋」と聞いて、現物を見てみたら正方形だった場合、「話が違うではないか」とクレームが出るかもしれない。このあたりが、文系と理系で、語感にずれがあるところだ。 「正方形は長方形である」は数学的に正しい。「正方形は四角形だ」と同じく正しい。これは、正方形はすべて長方形、あるいは四角形に含まれるからだ。正方形であることは、長方形であるための充分条件である。また逆に、長方形であることは、正方形であることの必要条件だ。 「正方形はすべて、長方形であり、菱形であり、平行四辺形であり、台形である」という言い方に抵抗を感じる人は、数学的な思考をしていない。おそらく、「正方形だったら、わざわざ長方形っていわなくても」という意見だろう。 しかし、犯人の名を知っているのに「男がいた」と書くのに対し、「知っているのならちゃんと書けよ」という理屈と同じである。長方形のことを正方形とは書けないが、正方形のことを地の文で長方形と記述してもフェアである。長方形には、短辺と長辺があって必ず長さが異なる(正方形を除く)、という条件は存在しない。