2006年08月15日(火曜日)


小説家は人気商売のうちなので、作家自身を多少は演出することも仕事の一部である。ある程度、格好良く見せる必要がある。けれども、本質的には、自分を格好良く見せることが仕事の主目的ではない。格好良く見せたかったら、商売をしてはいけない。奉仕活動が一番格好が良い。仕事とは、格好悪いことや、体力や時間を消費することなど、自分にとってマイナスとなることをして、それとの交換で賃金を得られるのだ。 最初は、非常にトリッキィな商品、高性能な製品、で独創性や技術力を見せつけるアイテムを世に送り出す。そうしてユーザの注目を集める。しかし、それだけでは続かない。ユーザが増えるほど、しだいに、一般的な品揃えを要求される。より広くニーズに応えなければならない。こうして、トヨタも SONY もホンダも大企業になった。最初の先鋭的な商品は影を潜めたけれど、それはメーカにとっては当然の選択である。何故なら、独創性や技術力を誇示するためにメーカは活動しているのではないからだ。 さらに言えば、先鋭的なものを作るよりも、一般的なものを安定して作る方がはるかに難しい。技術力がここへ還元されることになる。F1カーを作るより、大衆車の方がデザインが難しい、という意味である。ただ、最初から大衆車を作っても、誰も見向きもしないので、まずは、わかりやすいF1カーで技術力を見せた、という手順を踏むことになる。 作家のデビュー作はいわばF1カーのようなものだ。大衆車の方が書くのは技術的に難しい、と僕は現在は感じている。「それなら、F1カーばかり書き続けて下さいよ」とこれまでのファンは言うだろう。残念ながら、メーカは常に新しいユーザを指向していなければ前進はない。小説は、自動車のように、古い製品が相対的に劣化しないので、なおさらである。

via: MORI LOG ACADEMY: 大衆車を作るメーカ


4m の長さの紐の両端を接着して輪にする(接着したことで短くはなっていない)。この輪を使って、四角形を作ったとき、一番面積が大きいのは正方形の場合である。一辺が 1m の正方形になるから、面積は 1m2 になる。 長方形になると、正方形よりも面積は小さくなる。どんなふうに小さくなるだろう? たとえば、長辺を 1.1m、短辺を 0.9 mとなるように、0.1m だけ角になるポイントをずらすと、面積は、0.99m2 になる、0.2 ずらすと、長辺が 1.2m、短辺が 0.8m になるので、面積は、0.96m2 になる。0.1 ずらせば 0.01 小さくなり、0.2 ずらせば 0.04 だけ小さくなる。 すなわち、角を x だけずらすと、x2 だけ小さくなる。x が 1 まで大きくなると、面積は 0 になる。 これは、(1+x)(1-x)=1-X2 という計算で確かめられる。0.5m ずらして、1.5m×0.5m になったとき、頭の中で 1-0.25 と計算をするのは理系の人だろう。 たとえば、レンガの数が決まっているときは、正方形の花壇にすれば、最も広くなる。家を建てる場合も、立方体に近い形をしている方が、内部空間の広さの割に材料が少なくて済む。

via: MORI LOG ACADEMY: 周長一定の四角