2006年08月05日(土曜日)
昨夜遅く、講談社のK城氏から悲報。僕がデビューした当時「メフィスト」の編集長だった宇山秀雄氏ご逝去の知らせだった。急なことで本当にびっくりしたし、非常に残念だ。 昨日はいろいろなことが思い出されて、眠れなかった。初めて宇山氏に会ったときのことを僕は細かく覚えている。そのあと、僕は彼を驚かすために「すべてがFになる」を書いた。話されることも、手紙に書かれてくることも、いつも一風変わっていて、しかも矢のように鋭く、あとからよくよく考えると的の心を射ている、というものだった。ぎょろっとした眼差しは、ときどき少し遠くを望んでいたし、今まさに不足しているなにかを求めていたように思う。「探偵伯爵と僕」という作品は、宇山氏のために書いたものだ。それに、まだはたしていない約束もあった。残念である。 しかし、なによりも残念なのは、多くの作家が、彼にもう作品を読んでもらえないことだろう。僕は、亡くなった方のご冥福なんてものは信じていないし、それを祈ることはしない。それよりも、その人の高い意志を、生きている者が少しでも受け継ぐことの方が大切である。それをしなければ、人類としての発展はない。日本のミステリィ界は、愛情と厳しさに満ちた慧眼を2つ失った。あの大きな目は安らかに閉じられただろうか。その目がもっと見たかったものは何だったのだろうか。それを考えなければならない。
宇山氏の口からも実際に聞いたものであり、また彼の生き方を象徴する言葉を……。 「生きることなど、家来に任せておけ」
via: MORI LOG ACADEMY: 悲報