2006年07月29日(土曜日)
わりと耳にする言葉であるけれど、その意味するところはかなり難しい。 もともとは、国境線の長さを測ったときの数値の違いに着目して研究が始まったという。よく例として挙げられるのは、海岸線である。海岸線の長さは、どうやって測れば良いだろう。小さく縮尺した地図に定規を当てて測る場合と、もっと大きな地図を広げて、そこに定規を当てて測るときでは、結果に違いが現れる。もちろん、大きな詳しい地図の方が海岸線が長い。 リアス式海岸のような凸凹の海岸線は、細かく見ていくと、どこまでも凸凹がある。つまり、マクロな半島や湾の凸凹から、岩が出ている出ていないの凸凹、その岩自体の凸凹、さらに、もっと小さな数ミリの凸凹、のように、いくらミクロに見ていっても、同じように凸凹している。こういったものをフラクタルと名付けて、数学でも取り扱うようになったのである。 ファジィと間違えて使っている例を何度か見たことがあるが、まったく違う概念。似てもいない。フラクタルには、「曖昧」といったニュアンスはない。一言でいえば、縮小しても拡大しても同じように複雑なもの、とか、あるいは、そのような複雑さを示す指標として用いられるツールの一つである。 使用例:空に浮かぶ雲を眺めていると、「なんとなくフラクタル」だ。 こういったものを読んで、文系の人は、「ふわふわ」して「曖昧な」ものがフラクタルなのだな、と勘違いしたのだろう。