2006年06月08日(木曜日)


漫画の審査は、もう何年もやっているけれど、やはり、一番重要視するのは、オリジナリティ。つまり、「ああ、こういうのは今までになかったな」と思わせてくれるものが有利。絵かプロットか、あるいはそれ以外、なんでも良いからオリジナリティが出ているとアピールする。その次に大切なのは、バランスだと思う。これは、こじんまりまとまっている、という意味のバランスではない。むしろその反対。新しいものを前面に出し、それなりのバランスを取ることは難しいとは思うけれど、新しいものを出したからこそ、カウンタウェイトが必要になる。 自分が描きたいものを描く、というのは、失敗する確率が高いだろう。描きたいものであれば、思いが強すぎて、最初の短編では消化が難しくなる。これを描きたいのだろうな、とはわかるが、それがわかりすぎて、物語として感情移入できない。 どこにでもありそうな設定で始まったら、見たこともない展開を期待するし、見たこともない設定で始まったら、どのように定着させるのかを期待する。常識的に始まり常識的に終わればつまらない。非常識に始まり非常識に終われば見向きもされない。この両者で挑戦するには相当な力量が必要。したがって、常識的に始まり非常識に終わるか、非常識に始まり常識的に終えるかが、常套的な狙い目ではないだろうか。ようするに、そういうバランスのこと。

via: MORI LOG ACADEMY: 常識の中の非常識