2006年05月16日(火曜日)


基本的にいえることは、読者が作家よりも保守的である、ということだ。それから、一度統計をとってみたいものだが、酷評される本の方が結果的に売れる傾向にあるように感じるほどだ。少なくとも、出たばかりの頃の評判は、本当に売れ行きとは反対だと思う。したがって、評判が良いときにはあまり嬉しくなかったりする。「駄目だ、これだけ褒められたら、きっと売れないだろう」となる。 新しいものを出せば、古いものを知っている人は反発する。しかし、何度も書いているところだが、作家は、料理を出す店ではない。料理を出す店は、美味い料理を長く作り続ければ、何度でも同じ客が来る。しかし、作家が作るものは、同じ客が何度も経験できるものではない。基本的に1度だけなのだ。ここが決定的に違っている。また、いつまでも商品は古くならない。一度作ったものは、常に新しい。

via: MORI LOG ACADEMY: 本の評判