2006年04月13日(木曜日)


大きな箱の中に、小さな球体を沢山詰める。これが充填(じゅうてん)問題である。どうして、大きいとか小さいとわざわざ書くのかというと、箱の壁面の部分で中途半端な空間ができ、そこの計算が面倒だからだ。そういった境界部は考えず、つまり、箱は無限に大きいか、あるいは、球体の方を都合の良いところでカットできる、と考えることにしたわけである。数学って「都合が良いやつ」なのだ。 丸いものを箱に詰めると、どうしても隙間があいてしまう。この隙間ができるだけ少ないように詰める方法は、まず、第1層で、球を正三角形の配置に並べ、この3つの球の中心に来るように、第2層の球を置く、という並べ方である。この方法で詰めていくと、隙間は全体の体積の 1/4 ほど(充填率約 74%)になる。 半径rの球の体積は、4/3・π r 3 であり、これにぴったり接する1辺が 2 rの立方体の体積は 8 r 3 である。両者の体積の比は、4π/3:8 であり、充填率はわずかに 52%ほどである。 また、球にぴったり接する円柱体を考えても、この体積は、2π r 3 であり、球との体積比は、4/3:2、つまり、充填率は 2/3 = 67%に過ぎない。 この充填率は、球形の粉体の充填率(実績率ともいう)の最大値であって、粒子が大きくても小さくても同じだ。大きい粒子と小さい粒子を組み合わせると、充填率は大きくなるが、単一粒径の場合は、サイズの影響はない。感覚的には、細かいほど多く充填すると考えがちだが、これは錯覚である。

via: MORI LOG ACADEMY: 球体の充填