2005年12月30日(金曜日)


TVで、鉄筋コンクリートのマンションの模型を作って振動台で揺する、というTV局のやらせに近い実験を放映していた。鉄筋量の差がどれくらい耐力に影響するのかを劇的な映像として見せようとした、ただそれだけの演出だった。新しい知見は得られないから研究ではない。実験などしなくても、計算で求めた方がずっと正確だし、模型製作の精度が大きな影響要因として混入するだけだ。そもそも、崩壊形態は、縮小模型で再現できるような単純なものではない。TV局からの要請を断れなかったのだろうか。だとしたら、悲劇的な研究室だ。 世知辛い世の中ではあるけれど、明らかに過去のどの時代よりもましである。ニュースなどで、「安全で安心できる社会を取り戻すにはどうしたら良いか」と言っているが、「取り戻す」って何だろう? もともとは安心だったのか。単に、生活が大変で不安にも気づかないだけのことではなかったか。そういった余裕のない昔に戻れという意味だろうか?

via: MORI LOG ACADEMY: パスカルベッド