2005年12月15日(木曜日)


建築の構造設計が間違っていたために大騒ぎになっているけれど、むしろ問題なのは、設計は正しくてもそのとおりに施工されていない建物の存在である。そちらの方が数は何十倍もあるだろう。図面を見ていくら確かめても駄目だし、また、鉄筋探査計を使っても、内部の鉄筋の太さまではなかなか判別できないのが現在の技術である。既に完成している建物の耐震性を正確に知ることは、(大金をかけないかぎり)ほとんど無理である。 では、どうすれば良いのか、と知恵を絞って、最近になって、ようやくコンクリートを打ち込むまえにチェックをするようになった。木造や鉄骨でも手抜きは可能だが、天井裏や縁の下を見れば、それが判明する例が多い。鉄筋コンクリートだけは、コンクリートを打ってしまうと、外からはわからないということ。住宅の基礎は普通どこでも今は鉄筋コンクリートだが、コンクリートを打ち込むまえに、少なくとも型枠中の鉄筋の写真を撮るくらいのことは常識である。 大金を払って買うのであるから、それが作られているときに、なんらかのアプローチが必要であろう。特に、あとから見えない、検査がしにくいものならば、なおさらである。建物が出来上がったあとに契約したり、購入したりする、というシステムでは、この問題の解決は極めて難しい。

via: MORI LOG ACADEMY: 鉄筋