2005年12月05日(月曜日)


一番多いのは、とにかく、変なものを足そうとする行為である。 写真を撮ってそれを送ると、その写真の周囲にラインを入れたり、額縁みたいに飾ったり、浮き上がっているように影をつけたり、そういう余計な加工をしたがる。なにか仕事をしないと、自分の存在理由が危うくなる、という立場上の問題かもしれない。単純に愛なのかもしれない。もちろん悪気はないわけで、良かれと思ってやっていることと想像はするけれど、いずれにしても余計なことであることは確か。 カバーなどの案をまず見てくれ、といってくることもあるのだが、そういったとき、文字やレタリングが仮のものだったりする。文字はデザインに含まれていない、と考えているらしい。デザインとは、何の絵が描かれているかではなく、その視野すべてのバランスである。キリンと象のカバー案に対して、キリンを選ぶと、「あ、キリンがお好きならば」と別のキリンの絵を持ってきたりする。そういう問題では全然ない。絵が良いからではなく、絵と文字と配置と色とすべてのマッチングを見ているのだ。 とにかくいろいろありすぎて、書ききれない。いまだに少しもこちらの(実にシンプルな)感覚が理解してもらえないため、イラストや写真を送るときには、常に「なにも足すな」「加工するな」と注意しなくてはいけない。 デザインの語源は「削る」という意味である。不要なものを消して、最適なものを選ぶことだ。けっして「足して飾る」ことではない。

via: MORI LOG ACADEMY: よけいなデザイン