2005年11月16日(水曜日)


Aであることを証明するために、「もしAでないならば」と仮定し、その結果もたらされる明らかな矛盾を示す。「したがって、最初の仮定が間違っている」と証明する手法。 有名なものを2つ紹介する。まず、「素数は無限に存在する」の証明。 もし、素数が無限に存在しない、つまり有限だと仮定すると、素数の中で最大の数があることになる。この数をPとする。今、P以下の素数すべてを乗じた数をMとして、これに1を加えたM+1という数を考えると、この数は、いずれの素数で割っても1余り、割り切れない。ということは、この数を割り切ることができるPよりも大きい素数が存在するか、あるいはそれが存在しないならば、M+1が素数であるか、のいずれかになるが、これはPが素数の最大値であることと矛盾する。したがって、素数は無限に存在する。 「ルート2は有理数ではない」の証明 有理数とは、分数で示すことができる数のことなので、もしルート2が有理数ならば、ルート2=a/bと書ける。この場合、a,bはともに公約数を持たない整数である。この式の両辺を2乗すると、2=a 2/b 2 となり、2b 2 =a 2 が成り立つ。これは、a 2 が偶数であることを示している。2乗して偶数になるのは元の数aが偶数だからだ。つまり、a=2nと書ける。これを代入すると、2b 2 =(2n)2 =4n 2 となり、両辺を2で割って、b 2 =2n 2 が得られる。これは、b 2 やbが偶数であることを示している。すなわちaもbも偶数だと証明できるが、両者が公約数を持たない整数であることと矛盾する。したがって、ルート2は分数で表示できない数である。 最初に背理法を教えてもらったときは「なんか狡いな」と感じた。最初に背面飛びを見たときも「それはないだろ」と思ったが、どちらも正当な手法である。

via: MORI LOG ACADEMY: 2005 年 11 月 アーカイブ